心に残った歌

今までに心に残った歌(1970年代~)

「とらわれの貧しい心で」


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浜田省吾
1st ALBUM 1976/04/21発売

これまで書いていますように、浜田さんの歌には「社会的メッセージ」「純愛」「不倫の愛」と3つのテーマがあるのですが、この歌は「社会的メッセージ」に分類される歌です。この歌の歌詞を聴いて、僕は浜田さんの歌詞の凄さを感じたのでした。

 

「ああ、歌詞ってこうやって書くんだな」と思わせる感動する内容なのです。

♪脅えながら生活する都会では
♪怪しげな顔した イカサマ師達も
♪同じような悲しみに憑かれ生きているよ

 

単に悪い奴を非難するだけではなく、その背景にあるものにも思いを馳せているところが浜田さんの奥深さを表しています。また、たったこれだけのフレーズで「悪い奴に騙される善人」と「その悪い奴にもそれなりの理由があること」といった社会の不条理性を表現しています。これを天才と言わずなんと言いましょう!

 

かれこれもう6年も経ってしまいましたが、2015年に浜田さんは『アゲイン 28年目の甲子園』という映画の主題歌を作りました。デビューして30年以上経つそうですが、それほどのベテランでありながら、その歌を含んだアルバムがオリコンで1位を獲得しました。

 

こんな快挙を実行できたのは、なんと言っても昔から浜田さんを愛してやまない根強いファンがいるからです。僕はその報を聞いてそうしたファンの方々の愛情の深さに心打たれました。僕のような片手間ファンではなく、身体の神髄から浜田さんに心酔しているファンがたくさんいることの証以外のなにものでもありません。

 

もしかしたなら今の若い人には、今一つ心に響かないかもしれませんが、中高年以上の方々には心の琴線に響いているのではないでしょうか。ここまで行ってしまいますと、、「歌が」とか「メロディーが」とか「歌詞が」などという枝葉末節なことはどうでもよく、ハマショーさんの存在そのものを崇めていると思います。ある意味宗教に似ているとも言えそうですが、そうしたファン心理をたぶらかそう、操ろうとする素振りが全くないこともハマショーさんの魅力の一つです。

 

以前、ハマショーさんのインタビュー記事をなにかで読んだ際に、デビュー曲の「生まれたところを遠く離れて」の感想を師匠である吉田拓郎さんに求めたところ、「内容的に売れそうもないなぁ」と言われたと話していました。この歌もデビュー曲と同じ流れにあると思いますが、僕は嫌いではありません。どちらもメッセージ性が高い歌詞ですが、だからこそ素敵と思うのは僕だけではないはずです。

 

実は、この歌の歌詞はとても短く、演奏のやりようによっては4分ほどで終わってもおかしくないのですが、以前僕がYoutubeで見た映像はなんと8分ほどの大作に仕上がっていました。もちろんだからと言って内容が薄くなっているわけではありません。ハマショーさんの訴えたいことが心の中にしみこんでくる映像になっていました。

 

ハマショーさんを見ていますと、アーティストとファンの理想的な関係を示しているように思えてなりません。そうした関係が築けているのも、偏に(ひとえに)ハマショーさんの人間性が素晴らしいからに違いありません。

 

また、次回。